2021 年 13 巻 1 号 p. 37-47
さまざまな交通流シミュレーションモデルが,関心のある現象や必要とする再現性,対象領域の広さに応じて提案されている.そのうちの1つとして,交通状況や道路網の特性の違いを考慮して粒度の異なる2つ以上のモデルを使用するハイブリッド交通流シミュレーションのアプローチがある.なかでもシミュレーション中に各モデルの適用領域を動的に切り替える動的ハイブリッド交通流シミュレーションは,高い再現性を保ったまま広範囲に適用できる可能性がある.しかし研究事例はほとんどなく,モデルの切り替え基準とその効果が十分に調査されているとはいえない.本研究では,新たな動的ハイブリッド交通流シミュレーション手法,とくにモデル切り替え基準を提案し,性能を評価した.また現実の高速道路で取得されたデータを用いて検証し,提案モデルが高精度かつ低計算コストでの高速道路のシミュレーションに適していることを示した.