2015 年 50 巻 3 号 p. 273-278
高度成長期以後進んだ都市の街路緑化が,縮小時代ではその剪定とメンテナンスが自治体財政の負担となっている.街路樹の管理費削減のため,強剪定などで対処している自治体は,景観上の問題がみられる.街路樹の維持管理が喫緊の課題となっている.本研究では,緑のインフラの減少時代に向けて,街路樹の削減と緑視率の関係を単純化モデルで分析する.まず,運転者の目線から樹木密度(道路延長あたりの樹木数)と緑視率との関係を考察する.次に,沿道住民の視線をランダムな直線に置き換えて議論する.結論として次の知見が得られた.第一に,樹木密度を半減させても緑視率は半減しない.第二に,高速運転となる道路では,樹間距離を長くしても緑視率は大きく減少しない.第三に,街路樹の伐採方式により,沿道住民視点での緑視率の減少傾向が異なる.