ネットワークポリマー
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低誘電化を目指した低分子量PPE の熱硬化樹脂への展開
横山  大祐齋藤  宏典北井  佑季藤原  弘明稲垣  佳那
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2012 年 33 巻 6 号 p. 336-340

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抄録

近年,情報処理や通信の発達に伴い,プリント配線板にも電気特性の高機能化が求められている。ポリフェニレンエーテル(PPE)は,電気特性に優れ,伝送速度の高速化や伝送損失の低減に効果がある一方,溶融粘度が高く,反応性も低いため,熱硬化性樹脂への応用が困難であった。そこで著者らは,低分子量化したPPE に着目した。低分子量化したPPE は溶融粘度が低く配合割合を多くすることができるため,PPE の特徴を最大限活かした熱硬化性樹脂設計が可能であると考えた。低分子量化したPPE の末端OH 基は,一般的な高分子量タイプのPPE に比べると,分子運動の自由度が上がり,熱硬化性が高くなることが予測できるが,熱硬化性樹脂によく用いられるフェノール樹脂と比較すると,オルト位のメチル基による立体障害などの影響で熱硬化性の低さが懸念される。そこで今回は,末端OH 基の反応性を検討した上で,エポキシとの熱硬化物の物性を評価した。 その結果,低分子量化したPPE では,末端OH の反応性が良好であることが分かった。また,このPPE とエポキシを用いて作製した積層板は,ガラス転移温度と電気特性がともに良好であることが分かった。

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© 2012 合成樹脂工業協会
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