これまでの最適化手法のほとんどには,局所的な準最適解に陥りやすいという難点がある.遺伝的アルゴリズム(GA),SCE-UA法などの大域的探索法は,局所的な解が複数存在する問題にも対処できる新しい最適化手法である.本研究では,タンクモデル定数の同定に2つの局所的探索法と6つの大域的探索法を適用し,それらの適応性を比較検討した.適当な定数(真値)を設定した直列4段タンクモデルから得た流量資料に基づいて16定数の同定を数値実験的に試みたところ,SCE-UA法とマルチスタート・パウエル法の適応性が優れており,これらによると探索出発点の良否に影響されずに大域的な解が求められることが示された.