日本化学会誌(化学と工業化学)
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イソチオシアナトコバルト(II)酸錯体と非イオン界面活性剤との付加物
高本 遊坂井千 茄子市川 桂子小倉明 紀子涌井 勝弘
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1990 年 1990 巻 7 号 p. 759-763

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抄録

コバルト(II)水溶液に大過剰のチナシアン酸塊を加えてもNCS-輔基は1個か2綱しか配位せず,水溶液は淡赤色が濃くなる程度であるが,そこへ非イオン界面活性剤のトリトンX-100を少量添加するだけで,水溶液は濃宵色に変じてNCS-基が4個配位した錯体が生成する,このときコパルト(II)とトリトン濃度が高いと,濃腎色のゲルが析出する.チオシアン酸塩とトリトンの添茄濃度を種々変化させても,生じた青色ゲルの組成はほとんど一定であり,K2[Co(NCS)4]・2Tritoのような付茄物であることがわかった。また,上澄み液中のコパルト(II)の溶存率はトリトンをTrton/Co(II)=2の割合で添加したとき極小になり,これよりトリトン不足の領域ではトリトンは完全に沈殿して上澄み液が淡赤色を呈するが.逆にトリトソ過剰になると青色ゲルの沈殿量が減って上澄み液は青色が濃くなる。色ゲル中では[Co(NCS)4]2-の四面体型錯体を2分子のトリトンの疎水藩がとり囲み,親水基の青ポリ(オキシエチレン)鎖はそれぞれ1個ずつのカリウムィオンを巻き込んで,錯体の冠荷を中和しているものと推定される。

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