日本化学会誌(化学と工業化学)
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一般論文
金電極上のジヒドロキシボラン誘導体単分子層による糖認識
大島 賢治小林 幸太山内 健下村 雅人宮内 信之助
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2000 年 2000 巻 6 号 p. 405-410

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抄録

金電極表面におけるジヒドロキシ[3-(3-メルカプトプロパンアミド)フェニル]ボラン(1)の単分子層形成と単分子層の糖認識挙動を水晶振動子微量てんびん法により追跡した。金電極を1の水溶液に浸漬して7.6×10-10mol/cm2の被覆密度を持つ単分子層が得られた。この単分子層は1分子当たり最大1.5分子のフルクトースを可逆的に捕捉し,ジヒドロキシ(フェニル)ボランの均一水溶液と同じ糖種選択性{D-グルコース,D-フルクトース,スクロース,メチルα-D-キシロピラノシドについてそれぞれ会合定数K=100,4000,≈0,≈0M-1(1M=1mol dm-3)}を示した。単分子層のフルクトース捕そく量はpH9.5よりアルカリ性側で増大し,単分子層の形成に伴って1のpKa(8.4)がアルカリ性側に約1単位移動することがわかった。また,フルクトースが大過剰のとき,フルクトース捕そく量はジヒドロキシボランとその共役塩基の濃度比{[RB(OH)3-]/[RB(OH)2]}の約2乗に依存して増加することが明らかとなった。

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© 2000 The Chemical Society of Japan
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