日本化学会誌(化学と工業化学)
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天然セルロースIと再生セルロースI(I')の相違
末岡 明伯林 治助渡辺 貞良
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1973 年 1973 巻 3 号 p. 594-602

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抄録

セルロースの熱水処理および三酢酸セルロース,四硝酸セルロースのケン化処理により再生して得られる3種のセルローIと天然セルロースのセルロースを比較検討した。
天然セルロースIはグリセリン中加熱処理で恥へ転移しないが,3種の再生セルロース1はともに直接璃へ転移するという明確な相違点を見いだした。ざらに,X線回折において3種の再生セルロース1はともに天然セルロースIにくらべ(002)干渉が0.4。低角に位置している特徴を有している。赤外吸収スペクトルを比較したところ,両者にはとくにOH伸縮振動および1300~1400cmwti領域に明瞭な差があり,分子間水素結合系の相違に起因しているものと考えた。これらの結果から3種の再生セルロースIは準安定な一つの結晶変態とみなすべきものであり,セルロース1'と名付け天然セルロースのセルロース1と区別した。またセルロースIのレベルオフ重合度が80であるのに対し,Iは2Qbと両者は区洌される。このセルロースI は他の変態との相互転移の結果からセルロースI系に属することがわかった。

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