工業化学雑誌
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ポリエチレンテレフタレートの熱処理による構造変化
松元 孝子池上 昇江原 勝夫河合 徹前田 弘邦
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1970 年 73 巻 11 号 p. 2441-2446

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抄録

非晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)の昇温過程(約10℃/min)および長時間熱処理における構造変化を主として電子顕微鏡および示差熱解析(DTA)によって調べた。結果を総括して以下のことが推論される。DTAによる昇温過過程で130℃ 附近に発熱峰が見られ,低温結晶化を起すが,融解は単峰であるのに対し,長時間熱処理では主峰の他に熱処理温度に対応した低温側ピークを生ずる。低温結晶化では分子鎖の運動性が折りたたみ結晶をつくるには十分でないためむしろ束状晶を生成し,その融点がこの低温側ピークに対応する。この束状晶の成長は意外に速く起り,DTA測定中の昇温過程でも成長し,温度とともにその融点は上昇し,170℃ 以上になると融解し,折りたたみ型ラメラ晶に再結晶化し,約250~260℃ で融解して高温側主ピークとなる。170℃ 以上の長時間熱処理でもこの束状晶からラメラ晶への融解-再結晶が起る。

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