化学工学論文集
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移動現象,流体工学
剪断速度増加に伴うポリスチレン粒子の凝集・分散挙動に対するカルボキシメチルセルロースの影響
古瀬 順彦菰田 悦之鈴木 洋
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2012 年 38 巻 1 号 p. 13-18

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抄録

急激な変化を伴う流動場での粒子凝集分散挙動は,定常流動場におけるそれとは異なると考えられる.本研究では,ステップ状の剪断速度を印加した場合の凝集体の成長および破壊過程を直接観察によって調査し,レオロジー特性から予測される定常流動場での挙動との違いを明らかにすることを目的とした.水中におけるポリスチレン粒子の凝集性をカルボキシメチルセルロース(CMC)濃度により制御し,CMC濃度が凝集分散特性に及ぼす影響も調査した.この結果,剪断速度低下に伴う凝集体成長過程は粒子の衝突に支配されており,CMC濃度の凝集体成長速度への影響は現れなかった.一方,剪断速度増大に伴う凝集体破壊過程では,高CMC濃度ではCMC吸着層が粒子の接触を妨げるために速やかに破壊されるが,低CMC濃度では高い凝集性をもつ粒子は破壊されにくくその破壊過程は不均一になり,また,ステップ状の速度変化による凝集体破壊の場合,定常流動場における分散状態評価の大きさと比べると完全分散に近い条件で異なる結果となった.

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© 2012 公益社団法人 化学工学会
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