高分子論文集
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フェノールノボラック硬化型エポキシ樹脂の硬化物物性に及ぼす原料エポキシ樹脂の分子量の影響
尾形 正次金城 徳幸江口 州志河田 達男浦野 孝志
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1990 年 47 巻 8 号 p. 639-647

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抄録

平均分子量が異なる4種類のo-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂に硬化剤としてフェノールノボラック樹脂を用い, 硬化促進剤として2-エチル-4-メチルイミダゾール (EMI), N-メチルピペラジン (MP), トリフェニルホスフィン (TPP), テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート (TPP-TPB) を用いた場合の橋かけ密度と硬化物物性の関係を検討した. 橋かけ密度はエポキシ樹脂の平均分子量が大きいほど, また, 硬化促進剤はEMIを用いた場合に高い値を示した. 橋かけ密度 (ガラス転移温度) が高い硬化物はゴム領域では熱膨張係数が小さく, ガラス領域では大きな値を示した。また, 橋かけ密度が高い硬化物はガラス領域の弾性率が低く, 飽和吸湿率, 水の拡散係数, 透湿率, 比容積が大きな傾向が認められた. これらのことから高度に橋かけした樹脂は分子のパッキング状態が疎になっていることが推察されるが, このような橋かけ密度と硬化物物性の関係は, 橋かけ密度を原料エポキシ樹脂の分子量で変えた場合も硬化促進剤の種類で変えた場合も同様に観測された.

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