水溶液系で機能するペプチドやタンパク質などの生体分子に対する人工レセプターは,分離・検出材料や医薬などのさまざまな分野においてその応用が期待されている.ホスト-ゲスト化学の発展につれ,厳密な分子設計に基づいた人工レセプターがこれまでに数多く開発されてきた.しかし,天然に存在するさまざまなゲスト分子に対応し,テーラーメイド性をもつ人工レセプターの設計方法も必須であり,これを解決する手段として分子鋳型(モレキュラー・インプリント)法が発展してきた.従来の分子鋳型法では,ゲストの認識に水素結合を利用していることが多く,水系で十分な機能をもつインプリント高分子の報告は限られていた.本稿では,ペプチド類をターゲットとした人工レセプターの現状と,筆者らが最近開発した生理活性オリゴペプチドを認識するシクロデキストリン・インプリント高分子について紹介する.