高分子論文集
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天然シスポリイソプレンと合成シスポリイソプレンのゲル構造解析
椎橋 透広瀬 和正田形 信雄
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1989 年 46 巻 8 号 p. 465-472

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抄録

天然ゴム (NR) の優れた物性発現の原因が会合性の分子にあると考え, 合成シスポリイソプレン (IR) と対比してNRのゲル構造を解明することを目的とした. GPC/LALLSの測定からNRのゾルは分岐度が高いことが確認された. 練りロール機による素練り, 3種類の溶媒を用いた連続溶媒抽出, 酵素による脱蛋白などの処理を行いゲル含有率及びゾルの分岐度の変化を追跡した結果, NR分子の分岐点やゲルの網目はこれらの処理によって容易にはずれうる会合体であることが明かとなった. 13CNMRによる解析からNRの分子鎖中には微量のエステル基が存在していることがわかり, このエステル基がNR中にきょう雑する蛋白質のアミノ基と水素結合を形成することによりNRの網目点になっていると推定された. さらに, NRとIRのゲルの網目を透過型電子顕微鏡で直接観察し, NRの網目の方が相対的に疎であることを明らかにした.

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