近年, 高分子の不均一構造を三次元的に実空間直接観察することにより材料の評価・解析を行う新しい実験手法 (三次元イメージング法または三次元顕微鏡法) が注目を浴びている. これまで共焦点レーザースキャン顕微鏡 (Laser Scanning Confocal Microscopy, LSCM) による高分子混合系の相分離過程の三次元観察など限られた実験例はあったが, 高分子ナノ構造を三次元観察できる透過型電子線トモグラフィー法 (Transmission Electron Microtomography, TEMT) ・不透明な高分子材料のμmスケールでの三次元観察を可能とするX線CT (X-Ray Computerized Tomography, X-Ray CT) の登場により, nmからμmに渡る広い空間スケールでの三次元イメージングが初めて現実のものとなった. 本報では, 最近特に発展が著しいTEMTの装置・測定法について概説し, 最新の三次元再構成像の精度と分解能について議論する. TEMTによるブロック共重合体・無機/高分子ナノコンポジット材料の最新の三次元観察・解析例を紹介し, 三次元イメージング法による新しい高分子構造研究の方向性とその将来性について述べる.