Anthropological Science (Japanese Series)
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原著論文
北部九州の縄文~弥生移行期に関する人類学的考察(2)
中橋 孝博飯塚 勝
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2008 年 116 巻 2 号 p. 131-143

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抄録

北部九州において我が国でいち早く起きた縄文時代から弥生時代への変革は,どの様な人々がどの様なかたちで実現したのだろうか。日本人の起源問題とも関連する残された課題の一つであるこの疑問については,先に人骨形態と集団遺伝学的解析とを組みあわせた論考(中橋・飯塚,1998; Iizuka and Nakahashi, 2002)を発表しているが,その後,AMS炭素14年代測定によって弥生開始期の年代を500年程度遡らせるべきだという見解が発表され,これまでの弥生時代の年代観に大きな修正が加わる可能性が浮上した。そこで,従来は200~300年に想定した弥生時代早期から前期末までの年代幅を最大800年まで拡張して,改めてこの間の縄文系と渡来系の人々の人口変化について数理解析を行った。その結果,年代幅が長くなるにつれ,渡来系の人々にとってより緩やかな人口増加率でも弥生時代前期末までに縄文系の人々を圧倒するような人口比の逆転が可能であることが示された。

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© 2008 日本人類学会
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