分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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キトサンを用いる液液界面への微量銅(II)の分離濃縮と黒鉛炉原子吸光法による定量
南澤 宏明伊藤 豊彦南澤 麿優覽安藤 正信齊籐 和憲渋川 雅美新井 信正
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2006 年 55 巻 8 号 p. 573-578

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抄録

キトサンを含む水溶液と有機相の間に生成する疎水性膜状物質に水中の微量Cu(II) を分離濃縮後,黒鉛炉原子吸光分析により定量を行う高感度モニタリング法について検討を行った.微量Cu(II) を含む水試料に0.2% キトサン溶液5.0 cm3を加えpHを8.5に調整後,ニトロベンゼン3.0 cm3を加えて振り混ぜると水相と有機相の二相間界面に疎水性の膜状物質が生成する.Cu(II) は水相からこの膜状物質に分離濃縮され,このCu(II) を含む膜状物質を10 M-CH3COOH 2.0 cm3で溶解後,その一定量(20 μl)を黒鉛炉に注入し,原子吸光分析により定量を行った.検量線は0.006∼0.3 μg Cu(II)/100 cm3の範囲で原点を通る直線関係(r = 0.992)を示し,検出限界(3 σ)はCu(II) 0.002 μg/100 cm3(0.02 ppb)であった.本法を幾つかの水試料中の微量Cu(II) の定量に応用し,良好な結果を得ることができた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2006
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