分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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放射性廃液のアスファルト固化体中129IのICP-MSを用いる簡易分析法
亀尾 裕石森 健一郎島田 亜佐子高橋 邦明
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2012 年 61 巻 10 号 p. 845-849

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抄録

低レベル放射性廃液をアスファルトにより固化した廃棄物(アスファルト固化体)試料に含まれるヨウ素-129(129I)を簡易に分析できる手法を開発した.アスファルト固化体試料は,0.02 g程度の小片に切断して,炭酸ナトリウムとともに電気炉で加熱することにより,129Iを揮発させることなく,分解することができた.分解後の試料からの129Iの回収は,固相抽出ディスクを用いて迅速に行い,このときの回収率は60~75% であった.129Iの測定は,誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)の反応セルに酸素ガスを導入することにより,通常のICP-MS測定に比べ,検出下限値を1/6に低減できた.既知量の129Iを添加したアスファルト固化体試料を本法により分析したところ,129I添加量と本法による定量値との差は6% 以内であり,精度良く分析できることが分かった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2012
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