日本補綴歯科学会誌
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◆日本補綴歯科学会第123 回学術大会/臨床リレーセッション2 「サルコペニアの予防と改善に寄与する補綴歯科を目指して-多職種連携による高齢者の口腔機能,栄養,運動機能の改善-」
虚弱・サルコペニア予防における医科歯科連携の重要性:
~新概念『オーラル・フレイル』から高齢者の食力の維持・向上を目指す~
飯島 勝矢
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2015 年 7 巻 2 号 p. 92-101

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抄録

高齢期での自立生活の維持を考える上で,低栄養を背景とする虚弱及びその根底をなす筋肉減弱(サルコペニア)という大きな問題があり,高齢者における食の安定性を改めて再考する必要がある.我々は高齢者の『食力』に焦点を当て,食環境および口腔機能の悪化から始まる筋肉減少を経て最終的に生活機能障害に至る構造を新概念として構築している.早期の段階から軽微な口腔機能(=新概念「オーラル・フレイル」として提唱)や栄養状態の低下も認められ,さらに社会性の虚弱(social frailty)も深く関わっている.病態が顕在化するよりも早期の段階から介入すべきであるが,そのためには今まで以上に医科歯科協働を強め,「しっかり噛んで,しっかり食べ,しっかり動く,そして社会参加を」というメッセージを発信し,国民運動論に引っ張り上げることが求められている.

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© 2015 社団法人日本補綴歯科学会
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