2019 年 75 巻 7 号 p. III_451-III_459
小規模下水処理場におけるバイオマス混合メタン発酵の導入を想定し,オキシデーションディッチプロセスから発生する余剰汚泥の高濃度高温消化における稲わらの添加影響について,室内連続実験により検討した.その結果,汚泥単独では投入汚泥濃度6%で有機酸の蓄積が認められ,メタン発酵が不安定であったのに対し,3%の稲わらを添加することにより,安定したメタン発酵が可能であった.菌叢解析を行った結果,バクテリア,アーキアともに,汚泥単独系と稲わらを添加した系で菌叢に大きな違いが認められた.稲わら添加系において,セルロ―ス分解に関与すると推定されるClostridiaceae目の細菌が多く検出され,酢酸資化性のメタン生成古細菌Methanosarcinaが古細菌の59.6%を占めていた.高いアンモニア耐性をもつMethanosarcinaの優占化により,安定したメタン発酵を継続できたと推定された.