土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第57巻
下水汚泥と稲わらの高温混合メタン発酵によるエネルギー回収と残渣の水田への利用可能性
戸苅 丈仁三崎 岳郎松浦 哲久田邉 愛花濱口 丈瑠小池 主祥池本 良子
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2020 年 76 巻 7 号 p. III_481-III_490

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抄録

 下水汚泥と稲わらで高温混合メタン発酵を行い,発生残渣を肥料として水田土壌に還元するシステムを想定し,稲わら混合によるエネルギー回収量増加,槽内の菌叢変化,稲わら由来ケイ素による発生残渣の肥料としての利用可能性,脱水性向上効果を検討した。連続式高温混合メタン発酵実験の結果,稲わらをTSベース1:0.5で混合した(有機物負荷3.1kg-VS/m3/day)条件でも安定的なバイオガス生成が確認され,下水汚泥単独系に比べ1.4倍の発電量が得られる試算結果となった.消化汚泥の菌叢解析の結果,バクテリア,アーキアともに下水汚泥単独系と稲わら混合系で菌叢に大きな違いが認められた.また,組成分析の結果,消化汚泥中に稲わら由来のケイ素が残存することが確認されたことから,肥料としての品質向上が可能となり,水田土壌への汚泥肥料の利用可能性が示された.

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© 2020 公益社団法人 土木学会
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