土木学会論文集D3(土木計画学)
Online ISSN : 2185-6540
ISSN-L : 2185-6540
和文論文
津波避難場所の誘導効果とそれを踏まえた設置場所のあり方に関する研究
桑沢 敬行細井 教平片田 敏孝
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2015 年 71 巻 3 号 p. 117-126

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抄録

 南海トラフの巨大地震津波による被害想定を受けて,西日本を中心に津波避難対策の推進が喫緊の課題となっている.本研究では,適切な津波避難支援策の検討を目的として,地域のあらゆる地点を対象に避難場所整備による人的被害の低減効果を評価した.その結果,津波避難タワー等の氾濫域内における避難場所については,海岸から離れた氾濫域の先端部に近く付近に既存の避難場所が存在しない地域が効果的であることに加えて,適地として考えられがちな氾濫までの時間的余裕が無い地域における避難場所の整備は,不適切な運用が行われた場合,却って被害の拡大を招く危険性があることが確認された.さらに,避難場所の整備にも増して,避難場所に着くことよりも氾濫域から逃れることを優先した避難誘導の重要性が把握された.

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© 2015 公益社団法人 土木学会
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