日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
短繊維強化ゴムの摩耗に及ぼす充てん繊維と繊維配向の影響
和田 法明内山 吉隆細川 真
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1993 年 66 巻 8 号 p. 572-584

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抄録

クロロプレンゴム(CR)を母材としてそれにポリアミド短繊維を充てんした短繊維強化ゴム(SFRR)を, その充てん短繊維の繊維配向角度を変化させて研摩布と摩擦を行い, その摩耗挙動に及ぼすSFRR中の短繊維の配向角度の影響を調べた. また, 各種の短繊維を充てんしたSFRRを金網と摩擦させ, 研摩布の場合との摩耗挙動の違いを観察した. SFRRを繊維の配向方向に対し摩擦方向を角度θ傾けて摩擦させた場合の比摩耗量はθ=105°で最小となり, θ=0°または180°で最大となった. 表面観察の結果, θ=105°のときが最も繊維が被覆していることがわかった. また, 繊維が摩擦面に平行で摩擦方向の角度を変化させた場合, 比摩耗量はθ=0°が最小で, θ=90°が最大であった. これは繊維が摩擦方向に直角にある方が繊維の切断と脱落が多くなることを示している. 次に各種SFRRを金網と摩擦させた場合, 研摩布のときよりマトリックスゴムとの比摩耗量の差が顕著に大きくなった. また, 繊維の表面接着処理による影響は逆に少なくなり, パラアラミド短繊維充てんSFRRが特に耐摩耗性に優れていた. これらは研摩布との摩耗形態の違い, およびSFRRの弾性率の向上効果が強く影響している.

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