日本水産学会誌
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標識再捕に基づくオホーツク海南部におけるキチジの資源量推定
夏目 雅史北田 修一國廣 靖志木下 貴裕
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2001 年 67 巻 5 号 p. 821-828

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抄録

オホーツク海南部で漁獲されたキチジ3,025尾を標識放流し, 7年間で490尾再捕された。死亡係数一定を仮定した解析から, 1993年から1999年の資源尾数は, 2,400万尾∿800万尾に急激に減少していると推定された。標識脱落と標識死亡の影響をみるため, 様々なモデルをAICによって検討した結果, 漁獲係数は一定で, 自然死亡係数のみが放流後2年で変化するモデルが選択された。標識脱落と標識死亡の影響が無視できると考えられた3年目以降の漁獲率は, 0.1421±0.0106と推定され, 上の資源尾数は約30%の過大推定となった。さらに, キチジ全漁業者へのアンケート調査の結果から, 再捕報告率は94.3%と非常に高かったが, 標識の発見漏れが強く示唆され, これを考慮した感度解析によって資源量は最大4.3倍程度まで過大推定の可能性があることが示された。

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