木材学会誌
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一般論文
LVLへのクロス単板の積層がドリフトピン接合部の面圧性能に及ぼす影響
川添 正伸土屋 幸敏森 拓郎小松 幸平
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2006 年 52 巻 4 号 p. 221-227

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抄録

ドリフトピン接合部の繊維方向加力に対して脆性的な破壊を示すLVLに靭性を付与することを目的として,繊維直交単板(クロス単板)をLVLに積層した場合の靭性付与効果を検討した。試験は,通常のLVLとLVLにクロス単板を積層した2種類のLVLの計3種類で行い,ドリフトピン接合部のせん断試験を3種類の負荷速度で行った。そして,試験結果の完全弾塑性近似を行い,LVLの面圧性能を評価した。その結果,LVLの靭性はクロス単板を積層することで飛躍的に向上し,塑性率(終局変位/降伏変位)は16~23と非常に高くなり,エネルギー吸収量も通常のLVLの24~35倍となった。これは,LVLに積層したクロス単板の木材繊維がドリフトピンのめり込みに抵抗した結果であった。また,クロス単板の積層比率を増加させることでLVLの初期剛性は低下し,降伏変位量は増加した。終局耐力については負荷速度の速い条件で増加する傾向を示した。

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© 2006 一般社団法人 日本木材学会
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