水和水と溶解水のケミカルポテンシャル変化に加えて,膨潤拘束によるケミカルポテンシャル変化を考慮することによって,水分吸着に及ぼす竹材の高次構造による拘束の寄与を熱力学的に考察した。ケミカルポテンシャルは含水率と膨潤を拘束する領域の体積弾性率の積に比例した。熱力学的考察から,竹材においても木材と同様に高次構造による拘束の影響が確認された。すなわち,水吸着による膨潤の拘束は吸着量の増大に伴い維管束細胞壁の断面周囲長が増大に対して,円周方向にミクロフィブリルが配向した層のミクロフィブリルの長さ方向に引張応力増大することによって,膨潤が拘束される。