木材学会誌
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一般論文
ピロディンを用いた容積密度推定法とスギ生材丸太のクラス分けへの応用
山下 香菜岡田 直紀藤原 健
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2007 年 53 巻 2 号 p. 72-81

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抄録

ピロディンを用いて容積密度を推定する方法について検討し,密度基準によるスギ生材丸太のクラス分けへの応用の可能性を検討した。広葉樹,針葉樹,品種や産地の異なるスギにおいて,放射方向の打ち込み深さ(Pr)と打ち込み部の容積密度(ρouter)との間に,高い負の相関(r =-0.92,-0.86,-0.82,P<0.001)が認められたので,Prに基づいてρouter を推定することは可能と考えられた。スギでは,同じρouter に対するPrの値にバラツキがあり,密度が同程度の試料で比較すると,早材幅が広い試料でPrが小さかった。スギ生材丸太(n=208)において,Prと円盤の平均容積密度との間に,高い相関(r =-0.84,P<0.001)が認められ,丸太円周上の2方位で1回ずつ測定し,回帰式で容積密度を推定した場合,推定値の95%信頼区間は±47 kg/m3 であった。したがって,丸太内の放射方向の密度分布が,樹齢,遺伝的要因,生育履歴により変動することを考慮しても,Prからスギ丸太の平均密度をおおよそ推定し,その推定値に基づき,ある値よりも密度が低い丸太あるいは高い丸太を選別することは可能と考えられた。

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© 2007 一般社団法人 日本木材学会
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