木材学会誌
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一般論文
3次元加工に適した伸縮性と柔軟性のある木材の開発とその物性
中村 晋平二村 伸一前野 和也葭谷 耕三棚橋 光彦
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2009 年 55 巻 2 号 p. 77-84

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抄録

木材の3次元成形加工技術は木材をプラスチック代替資源として活用することを可能とするものとして開発が行われている技術である。これは圧縮半固定材から得た単板を高温高圧の水蒸気下で回復させながら深絞り的に成形する他に類を見ない技術であり,この技術の確立には原料となる伸縮性および柔軟性を有する半固定材の開発と,その最適な作製条件を検討することが重要である。本研究ではスギ(Cryptomeria japonica)およびヒノキ(Chamaecyparis obtusa)を用いて高圧水蒸気処理による様々な温度条件および時間条件で半固定材の作製を試みた。結果,圧縮半固定材は伸縮性および柔軟性に富んだ物性を示し,スギでは110℃で2時間予備軟化を行なった後,150℃で1時間軟化処理を行なったものが最適な物性(伸び率97.8%)を示し,ヒノキでは110℃2時間の予備軟化後,140℃で1時間軟化処理を行なうのが最適(伸び率107.4%)であった。

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© 2009 一般社団法人 日本木材学会
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