2013 年 59 巻 4 号 p. 219-226
高温時における接着強さが構造用集成材の耐火性能に及ぼす影響を明らかにするため,レゾルシノール・フェノール系樹脂接着剤(PRF),水性高分子イソシアネート系接着剤(API)及び酢酸ビニル系樹脂接着剤(PVAc)を用いた集成材はりの載荷加熱試験を行った。PRFとAPIを用いた集成材は45分の加熱試験で求められる性能を有したが,PVAcではラミナの脱落が早く,その性能は得られなかった。接着剤の圧縮せん断接着強さは温度上昇に伴って低下し,100℃,150℃,200℃ではPRF>API>PVAcの順となり,150℃のPVAcの値は0であった。集成材の耐火性能低下は,ラミナの脱落に支配され,接着剤の耐熱性能とラミナの脱落,集成材の耐火性能の関係が解明されたことで,200℃でラミナが脱落しない程度の圧縮せん断接着強さが残存すれば,集成材は,45分の載荷加熱試験で求められる耐火性能を有することが示された。