水環境学会誌
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原著論文
諫早湾調整池への海水導入を想定した実験による底質からのアンモニウム態窒素溶出量の見積もり
手塚 公裕伊藤 祐二片野 俊也加 瑞日野 剛徳速水 祐一大串 浩一郎
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2013 年 36 巻 2 号 p. 49-56

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抄録

諫早湾と調整池の底質を海水に懸濁させた実験により底質の間隙水NH4-N拡散量,吸着態NH4-N溶出量・溶出率を検討した。また,潮受け堤防排水門の開放時の調整池底質からのNH4-N放出量を試算した。その結果,底質の平均吸着態NH4-N量は諫早湾で44.2μg·gDW-1,調整池で156 μg·gDW-1,吸着態NH4-N溶出量の平均は諫早湾で29.8μg·gDW-1,調整池で115μg·gDW-1,平均NH4-N溶出率は,諫早湾で65%,調整池で76%であり,全て調整池で高かった。調整池底質が深さ10cmまで巻き上がった場合,間隙水NH4-N拡散量は6.7t,吸着態NH4-N溶出量は89.5t,これらの合計であるNH4-N放出量は96.2tと見積もられた。諫早湾では開門による環境改善が期待されているが,開門に伴う水の流動で底質が巻き上がることによる栄養塩の供給量の増加が懸念される。

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© 2013 公益社団法人 日本水環境学会
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