地盤工学ジャーナル
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ISSN-L : 1880-6341
論文
周波数領域電磁探査法の開発と河川堤防調査への適用性
片山 辰雄小里 隆孝加藤 裕将楠見 晴重松岡 俊文
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2009 年 4 巻 4 号 p. 331-340

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抄録

河川堤防の安全性を検討する場合、対象区間においてボーリング調査をポイント的に行いボーリング間の地層については補完的に設定していることが一般的と思われる。しかし、ボーリング地点の間隔が長い場合、その区間内がボーリング結果から補完した地層区分どおりの状態であるとは限らず、脆弱層の見落とし等が懸念される。本研究において周波数領域電磁探査法(Frequency Domain Electromagnetic Method:以下、略してFDEM探査法と呼ぶ)は、従来のFDEM探査機を改良開発したもので、探査機を地表面に置くだけで非破壊的に直下の比抵抗分布を迅速に探査することが可能である。したがって、河川堤防のような長い区間の地層状態を比抵抗分布から推定する手法に適していると思われ、比抵抗は含水比や粘土や礫の含有量等に相関があることからボーリング結果とキャリブレーションしながら解析すればさらに精度の高い地層区分や脆弱層の位置を推定できるものと考えられる。本研究においては、新しく開発されたFDEM探査機と測定原理に関する理論的な考察を述べるとともに、数ヶ所の河川堤防で行った現位置における探査結果から、本手法の適用性について検討した。

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© 2009 公益社団法人 地盤工学会
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