日本地すべり学会誌
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積雪期における新潟県内の第三紀層地すべりの運動特性
佐藤 壽則白石 秀一伊藤 俊方
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2004 年 41 巻 1 号 p. 37-42

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抄録

自動観測システムは積雪期における地すべり運動に関する詳細なデータの入手を可能にしている。新潟県の第三紀層地すべりの挙動を理解するため, 21の地すべり地におけるパイプひずみ計あるいは多層移動量計の観測データ65事例を検討した。地すべり運動の経時変化の特徴に基づいて, 地すべりの挙動は5パターンに分類された。さらに観測データから, 地すべり全体の40%は積雪前の11月から12月に活動を開始し, 融雪期にはじめて活動を開始する地すべりはわずか5%未満であることが判明した。このことは, 融雪期における融雪水の地下浸透が, 地すべり活動開始の原因ではないことを示唆する。融雪期における地すべりの発見は, 実際の地すべり発生とは異なる。

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© 社団法人日本地すべり学会
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