2009 年 54 巻 3 号 p. 129-138
畦畔法面において,グラウンドカバープランツ(以下,カバープランツ)の植被形成期における雑草防除のための有機物マルチの効果を明らかにするため,有機物マルチの種類・厚さと雑草の発生およびカバープランツの生育への影響を調査した。雑草の発生本数および乾物重は,マルチ処理で減少し,カバープランツの被覆速度は,ヒノキ樹皮およびもみ殻のマルチ処理では防草シートによるマルチ処理と差がなかった。特に,傾斜角度30°の斜面において,もみ殻およびチップ材は下方に流亡したが,樹皮は安定して地表を覆っており,畦畔法面での利用に適していると考えられた。ヒノキとスギの混合樹皮は,敷設厚5cmによりイヌビエおよびメヒシバが主体の処理区における雑草の発生を著しく抑制した。一方,敷設厚3cmでは雑草の発生抑制効果は小さかった。現地の水田畦畔において,ヒノキとスギの混合樹皮のマルチ敷設により雑草量は減少したが,カバープランツに対する生育抑制は認められなかった。