陸水学雑誌
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原著
2002年夏の琵琶湖南湖における沈水植物の現存量と種組成の場所による違い
芳賀 裕樹大塚 泰介松田 征也芦谷 美奈子
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2006 年 67 巻 2 号 p. 69-79

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抄録

 琵琶湖南湖の52地点で, 2002年9月に潜水による沈水植物の定量採取を行った。沈水植物は43地点に出現した。平均現存量と出現地点数から, 調査時の南湖全体の沈水植物の現存量は10735±3030t, 分布面積は43km2と推定された。センニンモの現存量が最大で, これにクロモ, マツモ, オオカナダモ, ホザキノフサモを加えた5種で沈水植物全体の現存量の99%を占めた。センニンモとマツモの分布は高い重なり合いを示した (Pianka's α=0.71)。沈水植物の現存量と環境要因についてSpearmanの順位相関係数を求めた。センニンモの現存量は平均透明度/水深比との相関が最も強く (ρ=0.50), 湖底の相対的な光の強さが現存量の大きさを規定する可能性が示された。マツモの現存量は透明度と正の相関を (ρ=0.44), オオカナダモの現存量は底質の平均粒径 (φmean) と負の相関を示した (ρ=-0.40)。南湖の沈水植物の現存量の歴史的変遷を整理した。2002年の沈水植物の量的な種組成は, かつて沈水植物が豊富だった1936年と大きく異なっていた。

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© 2006 日本陸水学会
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