陸水学雑誌
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総説
琵琶湖における塩化物イオン濃度の長期変遷とその増加要因 (2)琵琶湖の塩化物イオンの負荷量推定と過去30年間の増加要因について
早川 和秀岡本 高弘
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2010 年 71 巻 3 号 p. 285-303

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抄録

 本研究では,様々な文献と定期調査資料を収集して,過去10年間の琵琶湖へ負荷する塩化物イオンの起源と負荷量を検討するとともに,過去30年間の琵琶湖の塩化物イオン濃度の増加要因について議論した。大気や河川から琵琶湖へ流入する塩化物イオンのうち,陸域からの発生負荷は全体の70%であり,人為的な発生負荷の中では事業所排水が全体の41%と多かった。1960年代以降に琵琶湖水の塩化物イオン増加に寄与したものは,1)事業所排水からの塩化物イオンの増加,2)道路融雪剤の使用,3)水収支の変化,4)家庭排水の増加と結論された。1960年代以降,日本国内において塩消費量が増大し,塩の利用が多様化しているため,河川や淡水湖沼水中の塩化物イオンが増加またはそれに占める人為起源の割合が増加しているものと推定された。

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© 2010 日本陸水学会
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