2009 年 11 巻 1 号 p. 33-37
和歌山県沿岸域で出現頻度の高いヒラタオオトゲキクメイシには生時に3タイプの形態多型が認められた。これらの多型が種内変異であるのか,あるいは別種であるのかを明らかにするため,2008年7月26-27日に交配実験による生殖隔離の調査を行った。その結果,3タイプ間では産卵時間に違いは見られず,さらに平均で70%以上というタイプ内交配と同等の高い受精率が得られた。これらの結果とともに,タイプ間では骨格に明瞭な形態的相違が認められないことを合わせて考慮すると,生時に見られる3タイプの形態多型は種内変異であると結論した。