本稿では,EUプラスチック戦略,EU廃棄物改正指令内容や欧米企業動向を整理し,最近の循環経済関連国際動向について議論した。
プラスチック使用・生産増加の一方で,低リサイクル率や海洋環境への影響を背景に,発生抑制,再使用やリサイクルの大幅促進により環境影響を低減し,かつ,経済成長やパリ協定達成に向けた温室効果ガス (GHG) 排出削減につなげるEUの狙いが明確に反映された戦略といえる。これを,プラスチック容器包装材への高いリサイクル率を含む改正指令が支える。
戦略には,拡大生産者責任 (EPR) の活用,また,野心的な目標達成のため,企業による自主誓約キャンペーンの実施や,再生材の品質基準,再生材中の懸念化学物質対応,マイクロプラスチックの意図的利用や船舶・漁業具等の廃棄物管理対策,酸化型生分解性プラスチック制限,関連投資促進,EUリサイクル施設の認証等さまざまな取り組みや方向性が示された。これを受け,各種企業や業界団体が自主誓約等の対応を開始している。