色材協会誌
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研究論文
平滑なフルオロアルキルシランコーティング上での水滴の転落加速度の回転/滑り比に及ぼす水滴質量の影響
鈴木 俊介中島 章桜田 雄酒井 宗寿吉田 直哉橋本 綾子亀島 欣一岡田 清
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2009 年 82 巻 1 号 p. 3-8

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抄録

撥水表面における水滴の動的挙動は,近年自動車などの輸送機械の分野でニーズが高まっている。本研究ではフルオロアルキルシランをシリコン基板上に平滑(Ra~0.2 nm)かつ均質にコーティングし,35°に傾斜させ,その上でさまざまな質量の水滴を転落させて,転落加速度と内部流動との関係を検討した。評価には粒子画像流速解析法を用い,転落中の水滴の内部流動を可視化した。液滴の変形が無視でき,かつ等加速度で転落する転落初期において,固体―液体界面近傍での速度と,液滴の頂上近傍での速度から,液滴内部での回転と滑りのそれぞれの速度成分を算出した結果,水滴の実際の転落加速度がこの二つの成分の加速度の和で見積もることができること,また水滴が大きくなると回転成分の寄与が大きくなることが明らかになった。この理由として,小さな水滴は転落初期に高速での回転による転落が困難であることが考えられた。

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© 2009 一般社団法人 色材協会
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