2015 年 27 巻 155 号 p. 111-123
本稿ではセルロースやキチンといった構造多糖の材料としての機能化研究について、最近の進展をレビューする。機能化には、力学物性の向上、光学特性の微細制御、細胞接着性の増強などが含まれる。これらは分子鎖1本よりも大きなスケールでの、セグメントあるいは分子鎖の配向制御ならびに異種成分とのナノスコピックな緊密複合化によって達成される。一連の基礎知見を基に、今後はバイオマス由来材料が発現しうる機能の応用範囲を、生命科学的領域へと積極的に拡張していきたいと考えている。