2008 年 44 巻 6 号 p. 317-324
本研究の目的は, 癒しロボットの外観の印象評定を行い, 人を癒す外観の因子を抽出することである. 癒しロボットの外観を象徴すると思われる形容詞を抽出し, 調査対象者である大学生149名に, それらの形容詞を使い癒しロボットの印象評定を実施した. 印象評定に用いた形容詞に対して因子分析を行った結果,「性能」因子,「安堵」因子,「理想」因子の3因子が抽出された. 本調査以前にロボットに関与したことがない者はロボットに関与したことがある者よりロボットに対して「安堵」因子を求めていた. 逆にロボットに関与したことがある者はロボットに関与したことがない者より「理想」因子を求めていた. また, 精神的健康度に関しては, 落ち込みやすい者は, 理知的であることや真面目であることをロボットに求めていることがわかった. さらに, 怒り―敵意及び疲労感の得点が高い者は, そうでない者に比べて「性能」因子を求めていた. これらの結果より, 外観は見かけのみならず, その性能や効果の印象にまで影響を与えることがわかった. さらに癒し効果を上げるためには, 個人差に考慮したロボットの外観をデザインすることが望ましいことが明らかになった.