応用地質
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簡易試験によるダム基礎地盤の浸透破壊抵抗性の評価
山口 嘉一小川 直樹川崎 将生中村 昭
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1997 年 38 巻 3 号 p. 130-144

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抄録

近年わが国においては, 少なからずのダムサイトが軟岩, 軟弱岩あるいは砂礫層によって構成されている。これらのダム基礎は強度が小さいため, 設計時にその浸透破壊特性を評価する必要がある。
筆者らは, 室内および原位置浸透破壊試験を用いて, ダム基礎の浸透破壊特性を精度よくかつ効率的に評価するための精力的な研究を行ってきた。しかし, ダム基礎は通常多くの種類の地層, 岩あるいは土にて構成されるため, 相対的に安価な室内浸透破壊試験を用いても, 浸透破壊特性の評価には多大な時間と費用を要する。いま, 土や軟岩の浸透破壊特性の簡易評価試験を見いだすことができれば, この試験による概略評価を行うことで室内および原位置浸透破壊試験の効率的な実施が可能となる。
針貫入試験, ピック貫入試験および洗掘抵抗試験といった3種類の簡易試験のほか一軸圧縮試験, 室内浸透破壊試験を第四紀更新世の火砕流堆積物, 降下火砕物などの32種類の土および軟岩に対して実施した。その結果を詳細に分析することにより, 浸透破壊特性の簡易で間接的な評価の可能性について考察した。

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© 日本応用地質学会
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