日本イオン交換学会誌
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海水からの実用的なりリチウム回収を目的としたλ-MnO2系吸着剤の開発
喜多條 鮎子鈴鹿 泰宏西浜 章平鈴木 拓吉塚 和治
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2006 年 17 巻 1 号 p. 7-13

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抄録

海水からリチウムを選択的かつ実用的に回収できるλ一MnO2系吸着剤の吸着特性と結晶構造との相関関係および無機系 (SiO2) および有機系 (キチン) の2種類のバインダーを用いた造粒法とその評価について検討した。吸着平衡実験では, Li+の吸着量はH-500>H-600>H-STの順となり, Li+最大吸着量はそれぞれ, 2.53, 1.82, 1.72mmo1/g-λ-MnO2であった。また, 吸着剤の造粒では, SiO2バインダーを用いた場合, 充分な機械的強度を有する粒径1~2mm程度の高密度な粒子状吸着剤の調製に成功した。模擬海水を用いて, カラム吸着実験を行ったところ, 海水中に大量に存在する共存カチオンの影響をほとんど受けることなく, Li+のみを高選択的に吸着分離することができた。また, バインダーを用いることにより, Li+の溶離中における吸着剤母体であるMnの溶出を大幅に低減することが可能となった。本手法は, 粉末系吸着剤の機械的強度および耐海水性の高い造粒法としてのみならず, 無機吸着剤の母体の安定化にも寄与できるものと考えられる。

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