雪氷
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Print ISSN : 0373-1006
氷が破壊する時の発光現象
水野 悠紀子
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2002 年 64 巻 3 号 p. 241-248

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抄録

氷の圧縮実験と光電子増倍管を用いた光(フォトン)の同時計測を行なった.それぞれの時間分解信号から,氷が破壊する時,または,クラックを形成する時に可視光領域(300~650nm)の光を出すことを検証した.さらに,測定波長域が近紫外域(200~320nm)と近赤外域(300~850 nm)を含む光電子増倍管を用い,それぞれ可視域と近紫外域,可視域と近赤外域の同時測定を行った.同時測定の相関から,発光強度が強い光には短波長成分が,発光強度の弱い光には長波長成分が多いことを明らかにした.
可視域(300~650nm)の全スペクトルを含む発光強度は破壊時の歪エネルギーの増大とともに増す傾向を示した.しかし,同一の歪エネルギーにおける強度のばらつきは大きく,このことは発光強度が個々のクラックの特性にも大きく依存することを示唆する.
氷の破壊時に可視域の光を放出するという事実はクラック表面,または先端で約1.9eV~4.1eVのエネルギーの電荷が形成されると考えられる.

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© 公益社団法人 日本雪氷学会
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