2006 年 112 巻 4 号 p. 284-293
北海道北部,幌延地域西部のサロベツ背斜西翼に分布する声問層上部から採取した試料を用いて,珪藻化石分析とFT年代測定を実施した.その結果,初生的に堆積した珪藻化石群集からなる明白なNeodenticula koizumii帯と初出現層準の年代が約2.4 MaのN. seminaeを確認した.また,同地点から採取した火山灰のFT年代値は2.3±0.1 Maであった.これらのことから,幌延地域西部における声問層上部の堆積年代は約2.3 Maである.この成果と既存成果から,声問層・勇知層境界の形成時期は,幌延地域の東部より西部の方が少なくとも100万年程新しく,幌延地域の東西で声問層と勇知層が同時異相関係にあることがわかった.そして,その成果を用いると現行テクトニクスの開始時期は約2.3 Maより新しい可能性がある.また,今回分析した火山灰中のジルコンは,U濃度が高く,地層対比に役立つと考えられる.