地質学雑誌
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論説
北海道北部,大曲断層近傍の背斜成長の開始時期
石井 英一安江 健一大平 寛人古澤 明長谷川 健中川 光弘
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2008 年 114 巻 6 号 p. 286-299

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抄録

北海道北部,大曲断層近傍の背斜成長の開始時期を知るために,同背斜軸部周辺の新第三紀珪質岩を対象にボーリングコア観察,露頭観察および室内分析(火山灰分析・FT年代測定)を行い,挟在する凝灰岩層の記載岩石学的特徴と堆積年代,珪藻質泥岩と珪質泥岩の境界面(opal-Aとopal-CTの続成境界面)の深度分布,および岩石の有効間隙率を明らかにした.凝灰岩層の対比から,2層の凝灰岩層(HT1, HT2)が背斜軸部周辺で追跡でき,HT1から約2.9 Ma,HT2から約2.2 MaのFT年代を得た.これらの凝灰岩層とHT2の最大埋没深度に基づき背斜軸部周辺の約2.9 Ma以降の堆積速度を検討すると,約2.2 MaからHT2最大埋没時(遅くとも約1.0 Ma)の間に背斜軸部の堆積速度が周囲より有意に遅くなり始めたことが示唆される.このことから,約2.2~約1.0 Maの間に大曲断層近傍の背斜成長が開始したと考えられる.

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© 2008 日本地質学会
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